日商簿記2級凡闘記その3- 合格体験記 –

~③中盤其の二・工業簿記編~

日商簿記2級の出題範囲は、商業簿記に加え工業簿記も入っている。勿論自分はど素人。
2級の勉強を始めてから、度々呪文のように心で呟いていた科白をこの日も唱えながら、テキストを開いてみた。
日本語で書いているんだから、屹度いつかは理解できる筈だ。
なんとも頼りない。やれやれ。

「総合原価計算」だの、「個別原価計算」やら「工程別原価計算」、「直接原価計算」等々、
沢山の種類のテーマに追われながらテキスト1冊を終えるのに2ヶ月弱の時間を要した。

商業簿記の問題は、問題文を読み、引っ掛けがないか等を熟考する必要があったが、工業簿記の問題を解くときは、「感覚で解く」ような感じだった。
勿論どちらにしても、問題文はしっかり読まねばならんのだが。

きっちり理解しているのか、
それとも「なんとなく」で偶然解けているのか、
自分でもよく判らんが、一応、問題は解けるようになっていた。

簿記のことを理解したくて勉強しているのに、
「解っているのか否か自分でもようわからん」というのが一番厄介だなとも感じていた。

工業簿記に関しては、時間はかかったものの、ある意味至って淡々と習得してしまった。
へー、こうやってイッコの製品の「製造原価」なるものを計算してくのね、めんどくせーんだな。
というのが率直な感想だが、問題を解くこと自体は愉しんでいた。

冒頭の呪文が少し効いたのだろうか。
日本語で書いてあったから、それとなく理解できたようにおもう。

必死にノートを執る自分に対し、家族は皆、半ば呆れていた。

よくもまぁ飽きもせずそんなに沢山字が書けるよね。

応援してくれているのは承知している為、この言葉はナンセンスには響かなかった。
誰に何を言われようとも、自分はやりたいように好き勝手やっており、それを環境が許してくれているのだろう。

そのおかげで、想定以上に順調にここまで来たのであった。
実はひっそりと待っていた工業簿記でも視るであろう「地獄」には出くわさなかったことが、どこか物足りなかったりもした。
この、贅沢者めが(ぺし・ぺし!と自分で自分を平手打ち)!

2級の勉強ができたことには、とても満足だった。
3級以上に、手ごたえもあり、オモロかったぞよ。

その後々、予想もしなかった事態に陥るとはこの時、自分はつゆ知らず過ごしていたのだった。