翌朝の目覚めは、早かった。寄る年波か、午前5時には目が覚めていた。
さぁて、待ちに待った、温泉じゃ。ココの温泉はとても自分にとって心地よく、毎度毎度、身もココロも、洗われるのである。
温泉でスッキリしたから、やっとこさ心底こう思えた。『昨日の出来事は、湧き出る温泉に流して、忘れようじゃないか~(●´ω`●)』
どうやらようやく、気を取り直せた模様。とはいえ、宿泊するのは1泊のみで、もう帰るけどな(笑)
朝食の時間まで、少し時間があったので、改めて宿泊している宿のホームページを閲覧してみて、判明したことがあった。
おや。ホームページが、リニューアルされたのかな。以前は、女将(自分にとっては看板女将さん)の写真がドドーン!とでっかく載っていて、女将からのメッセージやら、スタッフブログやなんかもあったのだが、それらが一切なくなっている。
女将、不在になっているのか、と思い、運営会社の情報をクリック。聞いたことがない会社が運営していた。
なんと、いつの間にか、経営者が変わっていたらしい。宿の名前や佇まい、置かれているソファーやテーブルは、以前と同じだったが、来客対応や、館内の空気の違いは、人が変わったからで、それが自分への違和感のモトとなっていたらしい。モヤっとしていたことが、スッキリしてサッパリできたぜ(・▽・)。
朝食時間になり、会場へ行った。給仕係の人に、知らないフリをして、尋ねてみた。
自分:「あの、女将さん、変わったんですか?」給仕係:「あ、あの、実は数年前から経営者が変わったんですよね。私も去年からこちらで働いていまして。」自分:「(驚いたフリをして)あ~、そうだったんですか~。」
そしてつい、口が滑ってこう言ってしまった。
自分:「アナタが去年からってことは、元々いらした従業員の方々は一掃されてしまったのですか?」
・・・あ、まずい、つい、自分としたことが(((・▽・;)。温泉に入って、宿の事情も判明し色々とサッパリしすぎたようである、とココで言い訳がましくなってみる(汗)
チョット焦ったが、給仕係はサラリとこう答えた。
給仕係:「えぇ、そうなんです~。お客様は、何度か当館へ来ていただいていたのですか。」自分:「はい、もう数十年来のリピーターでした。いやぁ、何かいつもと違うなぁと思ってたんですが、そういう事だったんですね~。」給仕係:「そうだったんですね・・・。すみません。」
なぜか、謝られてしまった。別に、給仕係の対応は普通だったから、謝罪なんて要らんのに。
昨夜の夕食も今朝の朝食も、悪くはなかったし、温泉も相変わらず最高である。従業員トレーニングがもう少し充実した頃に改めて訪れてみようかな、と考え、チェックアウトをしに、今回の自分にとっては鬼門となってしまったフロントへと向かった。
さすがにもう今回は清算を済ませて去っていくだけだから、後腐れなくいくだろう、と考えていた。が、甘かった。印刷された請求書を拝見し、わが目を疑った。
単価 数 小計 消費税 合計金額・・・の順に記載されており、内訳が記されていた。※金額は、仮のものとして、こんな感じで、書かれていた。
単価 | 数 | 小計 | 消費税 | 合計金額 | |
---|---|---|---|---|---|
宿泊料金 | 10,000 | 2 | 20,000 | 1,600 | 21,600 |
入湯税 | 93 | 2 | 186 | 14 | 200 |
えぇええええええええー、なんぢゃ、これ。なんと、入湯税に、消費税がかかっているではないか。たたた、確かに合計金額に相違はないと思うけれども、表示されている内容が、おかしいと思った。
全くもって税の知識の欠片もないが、税金に税金がかかるのは、不可思議すぎる。この請求書を受領するわけにはいかない、と野生のカンが訴えてきた。
自分:「に、入湯税が、消費税抜き価格になってますけど、入湯税って、非課税ではないのですか。この請求書、税金に税金がかかってて、おかしいくないですか!?」
チェックアウト対応をしていたのは、昨日素っ頓狂な受け答えをしていた係Aだった。係Aは、こう言った。
係A:「ワタシも、フシギです~。」
聞いた相手が、適切ではなかった。気を取り直して係Bに、同じ内容をぶつけた。
係B:「単価と、小計、消費税、合計金額の順に記載しております。合計金額が合っているので、問題ないと思いますが・・・。」自分:「合計金額のことじゃなく、表示内容がおかしくないか、って聞いてるんです。」
押し問答?の繰り返しになりそうだったトコロを、友人がヘルプの一手を差し伸べてくれた。
友人:「スマホでググってみたら、入湯税、非課税ってなってるぞ。」
あり難き心の友よ(´;д;`)。そして自分の野生のカンが、誤りではなかったことも知り、どこか安堵(笑)。
係Bは、訝しげな表情をしつつ、正しい請求書を出し、「これで、良いですか。」と言った。問題なかったので、受領して、宿を後にした。
宿に関しては、後腐れまくりな、1泊旅行だった(;ω;)。
往路で約7時間かかった道は、帰りも同じくらいの時間を要する。復路も、引き続き観光しながらの道を辿ったが、ふと友人と税金のハナシになった。二人ともこれっぽちも税に詳しくないから、妄想話となったことは言うまでもないが、無い知恵しぼって考え出した二人なりの結論は、こうだった。
- 消費税も、入湯税も、我々納税者が国や地方に納めている税金である。
- 事業者(今回の場合、宿泊施設)に会計時に支払う税金は、我々納税者が事業者に預けているものであり、事業者は納税者から預かった税金を、然るべき時に、税務署へ納める手続きをする。
⇒遥か昔、義務教育を受けていた時、社会科の授業で聞かされた、『間接税』といワードを思い出した。
今回のケースでは、
入湯税(合計で200円)が、小計186円となっており、入湯税の消費税14円
宿泊料金(合計で21,600円)が、小計20,000円となっており、宿泊料金の消費税1,600円
⇒消費税:1,600円、入湯税:200円、のはずだが、最初に受け取った請求書の内容だと、消費税は 14円 を納めすぎで、入湯税は 14円 の脱税となるのではなかろうか?
結論=【おぉ、危うく14円脱税させられるところだったのか!?】
・・・まぁ、そこの会社にはきっと顧問会計士やら税理士っての?がついていて、指摘が入り訂正するんだろうがな。
普段何も考えずに平穏に暮らしている自分にとって、ここまでが限界だった。思考疲れに陥っていた。もう、何も思い浮かばない。
最後に友人は、心に突き刺さる一言を吐いた。
友人:「とある外国では、納税に対する意識がその国民に高く、事業者が税務に関して間違いを犯したとしても、それを納める納税者にも責任が問われることもあるって、聞いたことあるぞ。我々はその国の民ではないが、とはいっても、気が付いて、よかったな。」
確かに間接税って、納めている感覚が薄いし、ハナっから税の話については、馴染みがまっっったく、ない。自分が持つ意識と言えば、漠然と、「脱税は、イカン。」ただそれだけ。
こんな自分だから、きっと神様は今回、戒めの意をこめてこんな体験をさせてくれたのだろう、と思うことにした。・・・「神様」。こんなときにひょっこり現れるんだから(笑)
観光&温泉でに加えて、少しだけ税に関しての意識を思い起こす良い旅となりましたとさ。果たして今後、あの宿へ泊まりに行くか否かは・・・神のみぞ知る・・・とでも言っておこう。
完