車のカギをアルミホイルに包んでいたら警備員に声をかけられた

自分は、ふとした時に見知らぬ人から声をかけられ、話をすることが多いように思う。
見知らぬ人から声を掛けられ、暫しの時間を共にする一期一会も悪くはない。
そう言えるのは、幸いなことに、命の危険がある程にひどい出来事が起きていないからだろう。

今回の一期一会は、ある日我が父上が寄越してきた一本の電話が切っ掛けとなった。

普段父上から電話がかかってくることは、あまりない。
これは、クルマに関する一言アドバイス(クルマにちっとも詳しくない自分のカーアドバイザーは、父上なのである)
か、もしくは何か大きな事件が起きているかのどちらかだ。
後者を心配しつつ、恐る恐る応答してみた。

自分:「どどどど、どうかしましたか(やけに敬語)。」

父上:「オマエのクルマは、鍵がリモコン式の、所謂スマートキー、ってヤツだろう。電池がないと、ドアの開閉ができんだろ。」

(⇒あ、クルマの話だった。ほっとして、話題を先読みした。
『いつ電池が切れても良いように、予備の電池を用意しておけ。』とでも言うのだろう、と。
そこで、自分はこう切り返した。)

自分:「電池が切れたって、鍵本体を出せばドアも開閉できるし、エンジンもかかるようになっているから、大丈夫ですわ。ふふふん(・▽・)。」
(⇒こんな自分でも、それは知っていたぞと偉ぶった口調で、言ってみた。)

父上:「ちがーう、そうじゃない!」
(⇒声を荒げる父上。どうやらそういうハナシではないようだ。父上は、こう続けた。)

父上:「テレビのニュースで観たんだがな、最近、車のスマートキーの出す微弱な電波を、妙な装置を使って拾い、鍵を開け、盗み取る事件が相次いでいるらしいぞ。狙われているのは、高級車らしい。」

(⇒なんですと(゜Д゜)。
スーパーカーでも高級車でなくとも、自分と時間を供にする大事なクルマが万一そんな目に遭っては
ワシ、生きていけない・・・。
クルマは自分にとって生き甲斐のヒトツであり、大事なお友達なのである。)

自分:「げっ。そうなのか。そりゃ、こまったな(´・Д・`)。なんとか対策できんのかなぁ。」

父上:「うむ、以前からスマートキーに関する問題は、国土交通省だか何省だかも指摘しているらしいが、今の所自動車メーカーも、殆どの所が対策を講じられていないようだ、テレビの話によると。
ただし、自動車用品店では、対策グッズは販売されているらしいぞ。」

自分:「おお、それは好きことだ(・▽・)♪早速明日、お店に行って来ようじゃないか!」

父上:「わざわざ悪天候の中危険を冒してまで行く必要なし(註:この時非常に天気が悪い日々が続いていた)。
入手するまではクルマのカギを、料理等に使うアルミホイルにでもくるんでおけ。
それで充分だ。電波は遮断されるぞ。」

自分:「ほう、そうなのか、わかったよ。とーちゃん、ありがとう(・▽・)。」

たまに話をするとなると、やはりクルマの話題で持ちきりの我々親子の会話劇は、以上となる。
この会話があったのが2か月程前のことである。

その後、この窃盗の手口は「リレーアタック」と呼ばれていることを知った。

クルマを大切にしているクセに、性根がズボラな自分は未だ、自動車用品店へ足を運んでいない。
応急対策的に、アルミホイルをクルマに積み、
出かける度にせっせとアルミホイルを千切ってはくるみ、千切ってはくるんでいる。
余談だが、数回使ったアルミホイルは、くしゃくしゃになり穴が開いて破れてしまうため、ほぼ使い捨ての様な使用具合である。なんだか、勿体ない(´・з・`)。



最近この件で、見知らぬ人から声をかけられた。
クルマで足を運んでいる商業施設には、出入り口と駐車場内に警備員が配置され、クルマの出入りと駐車場内を誘導してくれている。
そこは日々沢山の人が訪れる場所であり、自分も用事があればちょくちょく出向いている。
今回声をかけてこられたのは、駐車場内で誘導をしてくれている警備員の男性だった。

男性:「あの、ちょっと、聞いても良いですか。」

自分:「はい、なんでしょうか。」

見知らぬ人なので、最低限の警戒はしつつも、割と慣れた手つきで応答する。

男性:「どうしていつも、ソレ(車の鍵)、くるんでいるのですか。」

直球な質問だった。

先の親子会話劇からのリレーアタックに関する概要を説明したのだが、男性は、リレーアタックというのをご存知なかったようだ。

男性:「へぇ~。そんなことがあるんですか!なるほど、解りました、有難う御座います!」

そう言って、職務に戻っていった。

1分にも満たない会話だったが、この度は有用な情報を授ける事ができたぞ、と自己満足し、施設の入口へと向かった自分であった。
その人にとって有用かどうかは判らんが、そう考えることにした。

そして、誘導の仕事をしながら、たまにしか行かない自分がしているそういう行為
(車の鍵をアルミホイルで包む、というなんともパッと見怪しいとみれる行為)
を見逃さない警備員の洞察力は、まさにプロフェッショナルだ、とひどく感心した次第であった。
こういった仕事への姿勢は、自分も見習わねばならん。

このように、見知らぬ人々から声がかかり、一日一善(と自分が思える事)ができるのなら、それも好かろう。

以降、過去にあった出来事も交えつつ、気が向いた時にオモシロ一期一会のハナシを随時更新していこうと思う。


続きのオハナシ。リレーアタック対策グッズを買いに行った。