クルマを購入して約半年。既にどこへ行くにも我が子と一緒でないと面倒くさいと思うようになっているワシがいた。徒歩3分のスーパーやドラッグストアにすら、わざわざ寝た子を起こして出掛けているこのものぐさで怠惰なワシ。以前は自力でしていたというのにな。
この日は徒歩約10分の病院へ行った。この頃、えらく胃が痛い日が続いていたので、内科へ通院していた。病院の駐車場は(運転下手なワシにとっては)なんとも出入りしにくい駐車場だった。おまけに車止めブロックが、ない(・□・)。
ワシの駐車場出入りスタイルは、基本、バックで入って頭から出る、というもの。バックで車道に出るのは何だか怖くてね(´ーωー`;)。それでもなお、我が子と行くという選択をしてしまう。今思えば危ない思考だったな。
開院よりも早めに到着して入れやすい場所に入れようと自宅を早めに出た。案の定駐車場はがら空きだったので、ゆっくりとバックで入っていった。目印は、花壇のかどっこだった。まだ後退できる、そう信じていた。
そしたら次の瞬間、((((コン・・・・ッ・・・・))))という音が小さく聞こえた。即座にすべてを悟った。『あっ( ・ ▽ ・ )。ワシ、やってモーターな』と。
そのくせ我が子は、どうにも斜めにしか入りたがらなくて、仕方がないからハンドル切り返しを繰り返して、えんやこらとモタモタしていた。
とそこへ、出勤してきた看護師と出会った。もたついているのを察知されたのか、看護師は慌ててワシの所へ駆け寄ってくれた。
ワシ:「あ、どうも、おはようございます」えへらと半笑い、苦笑いを交えて挨拶した。看護師:「おはようございます。車、ぶつけちゃう!危ないから見ててあげる!」
普段から良くしてくれている人だったので、この人は病院内ではエンジェル、病院外ではゴッドだなと思った。しかし、哀しき現実、ワシはこう言わなくてはならなんだ。
ワシ:「いや、もうぶつけちゃって、あはは~」看護師:「ええっっ・・・!ぶつけた、て、コレ、新車でしょ!!??」ワシ:「えェェ、やっちまいましたわ・・・。あは、あはは~・・・」
またぶつけちゃったらダメだから、とやはりその看護師は見ていてくれた。看護師のお陰で何とか無事、停めることが出来た。そして、気を取り直して、今日も血、頑張って採りましょうねと言われたのだった。
この話はショックのあまり、暫く誰にも打ち明けることが出来なかった。いずれ、ばれるだろうけど。親父にも友人にも、ディーラーにも内緒にしていた。親父や友人は、自分から言わない限り大丈夫だ。我が子と逢うことがないから。
しかしディーラーは違う。行けば、ばれるだろうと思っていた。
この頃はディーラーの土日に開催するイベントに足を運んでいた。「店に来れば、ティッシュペーパーやら野菜やら、何かしらあげるよ」と営業が電話を寄越してくるので。
そんな訳で、今よりはかなり頻繁にディーラーへ行っており、ついでに何かしらの点検っぽいことをしてもらっていた。だが、意外にも何も言われることなく日が過ぎていった。
日が経つにつれ、もしかしてディーラーなりの気遣いか、とすら思うようになった。
傷には気が付いているけれど、それを指摘したらワシが凹んでしまうのを危惧して、敢えて知らんぷりしているんじゃないか。
もしそうなら、かえって恐縮だ。よし、正直に話そう。ディーラーに遊びに(?)いって、ティッシュペーパーやら貰って帰る折に、ついに打ち明けた。
ワシ:「あの、実は白状しなくてはいけないことが」営業:「はぁ、なんでしょうか」
ワシ:「・・・あの、」と、言いながらトランクルームの方へといざなった。ワシ:「こ れ ・・・」お尻の傷を指さした。営業:「あっ?・・・あぁあああぁあーーーーーーっっ!!こ、これは・・・・!!!!」
傷をつけてから暫く経つこと、ショックで誰にも言えずにいたこと、そしてもしかしたらディーラーは知らんぷりしているんじゃないかと思っていることも、一切合切打ち明けた。どうやら傷には気付いていなかった(ダジャレを言ったつもりはない)ようだが。言われなければ全く分からない程度の傷だったとの事。この傷、ワシには大きく映ってしまうのだな。
そして半年して早速、お尻に怪我をした可哀想な我が子だが、特に錆びてしまうような箇所ではなかったので、放置することにした。いずれはもっとド派手に電柱とかにぶつけるだろう、そうなった時に対処しようと決めた。これ、ダメな親の典型。
たったの半年で、やらかしてしまっているこの事実に、やってモーターショーはまだまだ続くのだなと確信した次第であった。
続く。