やってモーター篇②警察に不信感をおぼえた話。

ノープランでぶらぶらとドライブをする際のスタンスは、「迷ったら、戻ればよい」である。
これはカー・アドバイザーである友人の言葉だ。
大昔、見知らぬ土地へ赴く際に、友人が言った。
当時は知らない場所へ行くことがどこか不安だったりしたのだが、この言葉にとても身軽になれた気がした。
それ以降は、枷を外しすぎたのか、あてどもなくブラブラとほっつき歩くようになってしまった訳だが(笑)。
帰巣本能?をあてにしたドライブも、悪くない。

で、とある日のノープラン・ドライブの帰り道。
ノープランゆえに、来た道、行った先も帰った道も今じゃ憶えていない。
無計画に動くので、カーナビゲーションや地図など、見向きもしない。
道路標識を頼りに行って帰って来た。
見知らぬ道だったが、この先を行けば自宅まで帰れるという道をみつけた。
側道から本線に入る直前、一旦停止の看板が見えた。
停まれと言われれば、停まる。で、本線へ入った。

その先に居た、パトカーが自分に赤色の旗を向けている。
旗には【止まって下さい】と書かれていた。

吸い寄せられる絵
否応なしに、吸い寄せられる。

止まれと言われれば、止まる。で、路側帯へクルマを寄せて停まった。

警察:「どうも~。県警です。先ほどの一旦停止で、停まりませんでしたね
ワシ:「えっ、停まったよ

会話の絵
デフォルメ会話。

警察:「ワタシだけじゃなく、後ろでもう一人も見てるんでねぇ~、アナタ、停まってませんでしたよね
2対1の多数決とでも言いたげだった。

会話の絵
続・デフォルメ会話。

ワシは停まった。なので停まったとしか言わない訳だが、このままでは埒が明かない。
なので、こう言った。
ワシ:「じゃ、検証しましょう。目視と同時にミス防止の為の撮影もしてるんでしょ
ヒューマンエラー防止の為に、撮影しているとばかり思いこんでいた。
だが警察は、こう言った。その言葉に一同(ワシしかいないが)驚愕。

警察:「えっ、撮影・・・それはしていないんですよね。あくまで私たちの目で見て判断していますので
ワシ:「ええっ。撮影すれば良いのに
警察:「なにぶん、予算も限られているものでして・・・
ワシ:「じゃ、どうするんですか。ワシ、停まりましたよ。でもあなたはそうじゃないと言っている

この後警察が放った言葉は明確には憶えていないが、平たく言うとこのような話だった。
今回は見逃してあげるけど、指導書を書いて帰ってね
警察は反則を「見逃す」ことは断じてないので、決してそうは言っていない。
だが兎に角結局そう言いたかったんだろうなと解釈したのでそう記憶している。

指導書とやら(確か黄色い紙だった)に何やら無理やり書かされた。
ここで一つ、質問をした。

ワシ:「ところで、後ろで見ているってどこで見ているんですか
警察は案内してくれた。確かに、そこにもう一人警察がいた。
側道と本線が交わる地点から20mくらい離れた位置にもう一人の警察は、木に身を隠すように「気を付け」して立っていた。
ピシッと立っている様がどこか滑稽だった。

木陰の絵
木陰に隠れていた。

わかりました、わざわざどうも、と言って我が子の元へと戻ろうと歩いていた時、警察はワシにこう言った。

警察:「あの、おクルマは、ご自身のですか

会話の絵
一体何の尋問でしょうか。

一体、何の目的で質問しているのかが分らなかった。
ワシは普段、見知らぬ人から同様の質問をされたときには必ず【親父のクルマです】と答えるようにしていた。
だが今回は相手が警察だ。虚偽の証言をしてしまうと後でこっぴどく叱られるんじゃないかと思い、正直に自分のだと答えた。
内心その後の追及に怯えていた。そしたら警察はこう言った。

警察:「そうなんですかぁ~!いやね、自分もかつてこの車種の先代に乗っていまして!

なんだよ、世間話をしたかったのかよ。
ていうか、こいつ、職務中だろ。いいのか、こんな事をしていて・・・。

会話の絵
どう反応すれば良いのやら。

その後も少し会話が続いた。
自分:「はぁ、へぇ、そうですか(興味なし)。今は別の先代に乗られているんですか(聞いてほしそうだったので、聞いた)」
警察:「いやぁ~、結婚して子も出来たもので、今は沢山荷物の積める車に・・・。はぁ・・・
泣く泣く手放したのだろうと察したので、「あ、そうでしたか、心中お察し申し上げます」と言っておいた。

「好きなクルマに乗られて羨ましい、今後も大事に乗ってね」というようなことを言われてやっとこさ別れた。

今のほんの少しの立ち話の間に、違反者が居たらどうしていたのだろうかと思った。
後ろの人がしっかり見ているから、見逃していることはないだろうけども。

しかしなぁ・・・仕事に没頭しろよ、ナニしてんだかと呆れた気持ちを抱いた。
この日、ワシはやんわり・ぼんやりと警察とやらに対して不信感を抱くようになった。

そして哀しいかな、この野生の勘はのちに確信へと変わってしまうようになるのであった。

ご苦労様ですの絵
とは言え、アンチじゃございまセン。

続く。