自分ちの引越でこんなにも第三者からかき回されることも、田舎あるあるなのであろうか。
特段田舎で暮らす事に厭いはなく、そういう文化があるとも予備知識はあったため、多少の疲労はあれどもヒステリックな悲鳴を上げるほどには至っていなかった。
というか、この町内会の話に限らず何か「ん、違うんじゃないか」と思ったことが起きている時は、どうすれば(互いにとって)良い方向へ向かうのかを考え模索すれば良いだけのこと。
ということで、ごみ捨て場の一件を役所へ相談してみることにしたのだった。この度のお役所巡りコースは、この順番だった。
- 住民票云々の手続き⇒住民課へ
- ごみ捨て場云々の話⇒生活課へ
- 水道関係の手続き⇒水道課へ
住民票云々の手続き。あえなくアッサリと終了。
そりゃ、決まりきった手続きをすれば良いだけのセクションなので、何かが起こり得ることは、まぁ、まずなかろう。
自分が相当の所謂「クレーマー」にでも扮しなければ。いつ何時においてもそんな余力、自分にはない(笑)。
問題はここからであった。
ごみ捨て場云々の話
生活課は役所の2階部分にあったため、階段を昇り、たどり着いた。小さな地域ということもあり、さほど広くもない。そのセクションへ来た住民を発見できないわけがない距離に職員がうろうろと動いていた。
ここで、まず、唖然としたのだった。
誰か来たのがわかるだろうに・・・職員の誰一人として用件を聞きに来る様子もなく、来客があるのを判別しつつ(実際に目線だけはこちらに向いている職員もいた)、気にもせずに淡々と与えられた作業(業務)にあたっていた。受付担当席らしきデスクに重鎮しているスタッフもいるのに、だ。
いやいやいやいや~、んなコト、役所あるあるだろうに(-ω-)=3と呆れておられる貴重な読者の皆々様。ちょっと置き換えてみておくんなまし。この状況を、自分=店に入った客/役所職員=店員だというシチュエイションに。
『コイツら、やる気ねーな。』という思考にはなりませんかねぇ。
思い返せば役所に一歩足を踏み入れた時から感じていた。職場であるはずの役所内の弛緩した空気。職員達のどこか虚ろな目。入館してから挨拶のひとつもないその空間に。
嫌な予感はこの時点で半分以上的中しているわけだが、こんな自分でも前向きに考えようと努力はする。ココロの声『コイツら、やる気ねーな。』をワシャワシャ!!!とかき消し『い、いそがしいんだなー、しかたない』に転換させて、声をかけたわけだった。
自分:「あの、すみません」
今初めて客の存在に気付いた、という体で受付席に重鎮していたネエサンが視線をこちらへ向けた。
ネエサン:「はい、なにか」自分:「ごみ捨て場の使用と、町内会への入会について相談させていただきたく、参りました」ネエサン:「(ガ)ハァー・・・はい」
またかよ、という表情が見て取れた(あくまで自分の主観だが)。このテの相談、多いのではなかろうか。
対応した職員のネエサンと自分のやり取りは、こうだった。
自分:「町内会の役員の方から『町内会に入らないとごみ捨て場の利用はできないようになっている。ゴミを捨てる場合、ゴミ収集所に自分で持ち込むことになる』という話を聞いたのですが、これは本当の話ですか?」ネエサン:「役所としては、町内会に入会していなくともごみ捨て場は使用していただけるよう、各町内会グループに“お願い”をしている」
そうはなっていないようだ。自分は入会が必須だと言われた旨を伝えた。そもそも、ごみ収集って市町村の責任じゃないのかね?とも言ってみた。
だんまり。ため息をこぼして、上記回答と同内容をオウム返しのようにつぶやき、こう言った。
ネエサン:「役所としては、これ以上の事は言えない」
ひとつ疑問があったので尋ねてみると
自分:「町内会に入会していない方は、どうやってゴミを捨てているんですか?」ネエサン:「個別のお話はこちらでもすべて把握しているわけではないので、お答えできません」
役所的回答=全く意味のない回答だった。※断じて役所批判をする積りは毛頭ない。(やはり)このままだと町内会と調整をするのは自分がせねばならんのだな。
自分:「とは言っても、町内会からは入会しないと使えないと言われているんですよね。何かいい方法ありませんか?」ネエサン:「(・・・困った様子)」自分:「例えば、自宅の前にゴミを置いておくので、ゴミ収集していただくことは可能ですか?もちろんゴミが荒らされないようにはしますので」ネエサン:「個別に収集するのはやっていないんです。足が不自由な方など特別な理由がない限りはしていません」
ほぅ、こういうところははっきり答えるのだね(・ω・)。
自分:「でも役所のこの辺りって、自宅前にゴミ出しして持っていってもらってますよね?なんでうちの地域はダメなんですか?」
再び、ダンマリを決め込むネエサン。
そうそう、話しながらだが気になったことがあったんだ。ネエサン、手ぶらで自分の元へやって来て椅子に腰かけ話している。ここまでそれなりの事情を説明したり相談しているんだがね。
相談をしに来ているその内容をメモに執る行為をしていない。≒あ、こいつ、その場限りで言いくるめて追い返す気だな(`・д・´)。
つい勘ぐってしまった。いつもは何かにつけて鈍感に生きているのだが、ここぞという時に妙な勘が働くのは何故だろう(´・ω・`)。とはいえ殆ど無に帰するとは知りつつも何かしらアドバイスを得ようと話を続けた。
自分:「ごみ捨て場って誰が管理されているものなんですか?」ネエサン:「・・・そう云われましても。ワタシが生まれた時からごみ捨て場はありましたので・・・」
いや、しらんがな(・∀・)。
何を突拍子もないことを言い出すんだ。自分はアナタの年齢も知らなければ、井戸端会議をしにココ(役所)へ来ている筈もない。この一言で、どうにかしようという気、まるでなし!と判断したのだが、食い下がる。
自分:「もしごみ捨て場が壊れた場合、修理や買い替えは誰が対応されるんですか?」ネエサン:「それは、町内会の方で対応されると思います」
フッ。そうかよ、町内会で対応すべきものだったのか(早く言えよ)。となると、町内会に一理があるということだ。町内会に“お願いしている”って言葉が気になってはいたんだよ。
負けん気強い自分だが、暖簾に腕押しの相手であると見極めると、とたんに方向転換してしまうきらいがある。うむ。もう、こりゃ、ムダ&ダメだ、とその時のあきらめの境地へ到達してしまったようだ。
しかし最終的にネエサンからは、このような打診があった。
ネエサン:「役所から町内会長へ連絡しましょうか?」
これはいろんな意味で願い下げだった。というのも連絡をしてくれようものなら、相談しに行った人間が割れてしまう。新しく引越してきた人間は自分しかいなかったので。そうなると住みにくくなる恐れが十分にあったから、その提案は丁重にお断りをした次第だった。
で、結局どうしたかというと。自分で町内会と話をすることにしたのだった。
上記のやり取りから数日と経たないうちに、自分から連絡をしなくとも町内会グループ長から連絡が入った。都合の良い週末に町内会長交えて話がしたい、とのこと。
・・・水道課の手続きもあったのだが、特にはなにもなく普通に終えて、むしろごみ捨て場の件が重すぎた。
そしていつかの週末に、奴らはやって来た。
一応ダメ元で下記提案をしてみたものの、なしのつぶてであった。
- 町内会への入会はせずに電灯&ごみ捨て場使用代として、月数百円のお金は納める。
- それもダメで、町内会への入会が必須なのであれば自分は役員や班長には就けない。普段仕事があるので、なかなか行事にも参加出来ないし。
町内会側の言い分は、やはりごみ捨て場を使用するには町内会へ入会しないと使えない、それがこの地域のルールになっている。
の、一点張りだった。
それについては話し合う余地もなかった。自分にだけ“例外”を作ってしまうと、ほかの近隣住民も町内会を抜けかけない。町内会を脱退されたら会費収入がなくなり、会の運営が行き詰まる。そうなっては地域の活動が行き届かなくなってしまう恐れがある。
おそらくはこう言った理由だろう。
ただし、1点だけ認めてくれたのは役員や班長に就かない、ということ。この辺は仕事をリタイアしている会長やグループ長も理解があった。そこは素直にかたじけなく受け止めた。
諸々会話を終えて彼らが去った後、久方振りにこの言葉が胸を突いた。【郷に入っては郷に従え】
これまでの経緯を総じて考察しても、状況としても、そのようにせざるを得ないものを感じた。人口が少ない割(が故?)に元々そこで暮らしている人達の文化を、偶偶そこへ仕事でやってきた永く暮らす予定がない自分が、かき乱すことはしない方がよかろう。
むしろ役に就かない条件をのんだことだけでもよしとするか。
冒頭述べた、『互いにとって出来る限り良い方向』へと妥協できたのではなかろうか。自分も町内会の行事に全く参加していない訳でもなかった。都合があえば避難訓練やらバーベキューにも参加していた。ちゃっかり(?)、それとなく地域に溶け込んでいた自分はまるでカメレオンのようだな(笑)。
町内会長とは何故か仲良しさん(というか、度々連絡が入り相談を受けていただけ)となっていたのは、何だか不思議な話。そうこうしているうちに、自分はその地域での仕事を終えて去った訳であった。
そこでの暮らし始めの頃にきちんと話をせずに暮らしていたら、きっと自分も暮らしにくさはあったのやもしれぬ。何事も初めが肝心、とはよく言ったものだ。確かにあの話し合いは、とても大事だったのだった。・・・役所でのネエサンへとの話し合いは、さておき。
ココじゃ話にならん、と踏んだら別の切り口を探ることも大切。粘り強い対話も、大切。そこでの暮らし始めに、この2点を同時に体感&学習できたことは今後の自分にとって、きっと何かの時に役立つであろう。
・・・できればこのような事なく平穏に(楽に)暮らしていたいと切望しておるが。そんな風に考えている時点で、きっとまた何ぞやが降りかかってくるぞ(・ω・)。
社会生活を営んでいると、もちろん何かとあるが、それでも今は許される範囲でパッパラパーで居られている今のこの瞬間が、倖せなのかもね(´-ω-`)。