仕事の用事で、田舎暮らしをしたことがあった。
引越魔の自分はにとっては、どこへ行こうが引越作業はお手の物(自慢にならんが)。田舎なので(と言ったら失礼か)、住まいは庭付き一戸建てだった。
ずぼらな自分には、庭なんて管理不能だと怯えつつも、それはさておき。旧居⇒新居への搬出作業は、いつも通り。家具や箱をトラックに積んで貰って自分はただ移動すればよいだけ。新居での荷降ろしも、いつも通り。
業者を指示監督すればよいだけ(←少しは手伝えよ)。
思えばその引越については、引越日早々に、物凄く慌ただしかった。引越業者の対応もあったりするのに、作業をしている途中でやたらと訪問人があった。
①風呂屋来訪。風呂の調子がのっけからよくない
近所の風呂屋を名乗るの爺さん二人がやってきて、様子を伺われた。
風呂の事は風呂屋。とはいえなんだか心許ない感じで一抹の不安を憶えつつ、こちらの作業再開。ホントに風呂屋なのかは、未だもって、謎のヴェールに包まれている・・・。
②そんな中、またピンポンが鳴った。
どこのどいつだ、ど思い聊か声を高ぶらせ応答
「家主でございます~。いやぁ、お宅が今日引越日だっていうからね、庭に物置設置しに来たんだよ~」
※当初、引越日には物置は間に合わず、後日の対応となる旨を仲介業者から聞かされており、それで特段問題ないと思っていた。
が、大家さん(遠方にお住まいらしい)が気を遣ってくださり、急いで来てくれた。これは、ありがたや。大家さんが友達を連れてきて、二人で一緒に物置設置作業を庭で行ってくれたのだった。
余談だが、思いの外荷降ろしが早く終わり、業者のアンチャン達が、次の現場へ行くまでに一瞬の時間があったらしく、この作業を屋内で眺めていた。
アンチャンA:「いや~、ボクは建築系の仕事は詳しくないですが、あの御爺さん達、大丈夫ですかね。なんだか、物置の足場、かなり怪しくみえますけど」アンチャンB:「おぉ、台風なんか来ようモンなら、倒れてしまいそうですね・・・」A&B:「ぎゃははは!そんなことはないか~。ぎゃははは!」
言いたいだけ言って、彼らは次の現場へと去っていったのだった。・・・自分への胸のざわつきを残して。
ところがこの大家さんとお連れの友達は優しい方で、休憩用にお茶とずんだ餅(多分)を持ってこられていたようだったが、自分にも分けてくれた。小腹が空いていた自分は嬉しく頬張り、胸のざわつきが消し去られたのであった。食べ物さえ与えれば大人しくなるのは、小人だろうと大人だろうと同じか。
※因みにこの物置、暮らしている間は何の問題もなく、使用できていた。
③またまた、♪ピンポン♪
おいおい、今度はなんだ、風呂の調整に誰かやってきたのかと考え、玄関へ行った。このおっさん(60歳過ぎ)は誰だ???どうやら近隣住民の町内会グループ長を名乗るおやっさんで、町内会入会の勧誘にやってきたらしい。
自分:「あの、現在(一目瞭然だが)引越作業中でして、ちょっと今お話伺える状況ではなく」おやっさん、耳が遠いのか、構わず玄関に腰掛け、何かと話をし始める。
おやっさんの高ぶる話したい心を抑えて、どうにか一旦お引き取りいただいた次第だった。非常にマイペースで、さぞかし自律神経によい暮らしを送れていらっしゃるようで、何よりである(-_-;)。
④ん?なんだか知らん人が庭にいる!?
引越作業で忙しい中、ふと窓の外を見渡すと新キャラのジジイが庭に。ちょっと猫背に様子を伺いながら庭を歩き回るそのジジイは、推定80歳。見りゃわかると思うけど、こっちは引越作業中だ。空き家だった頃は、アンタのいつもの散歩ルートだったのかもしれんが、人いるぞ?どうどうと歩き回る姿に今後もコイツが現れることを十分に予感させ、当時は相当気が重くなったもんだ。
⑤お隣のお爺さんがウワサ話
引越の荷物をせっせと運び入れている中、突然やってきて脈絡もなく壊れた機関銃のように話散らかすお爺さん。
お爺:「隣に住んでるものだけどね~。引っ越しか~」自分:「(頭を下げて)ご挨拶遅れてすみません。今日引越してきてお騒がせしています」(といったご挨拶をしていたところ)お爺:「裏のじいさんは認知症だからね~、この辺りよくほっつき歩いてるよ~」自分:「はぁ」(さっき庭にいたジジイか)お爺:「たまに置いてある物を持っていっちゃったりするけど、気にせんで~」自分:「そ、そうなんですか?」お爺:「夜中に持っていっちゃうこともあるけど、気にせんで~」自分:「は、はい(それって窃盗じゃ・・・)」お爺:「ここらは夏場に毛虫がうじゃうじゃと~」自分:「(え・・・)」
・・・いい話ひとつもねーじゃねーか。
しかし、この話をどこまで信じていいのかは謎だ。いいか悪いかと言えば、悪いよりだが。
⑥後日のこと。家に上がり込んでくる住民
後日のことである。引越して数日ばかり経ったある日、またピンポンが♪町内会グループ長のおやっさんだったのだが、また町内会の勧誘か!?そうではなくて、風呂場の設備のことで話をしたいとのこと(なんでアンタが・・・)とは言え、設備のことなんか知る由もないので、とりあえず玄関先で聞くだけ聞いとこ。くらいの気持ち。
しかし・・・
おやっさん:「ここじゃあ、なんなんで」(上がり込もうとする)自分:「まだ引越したばかりで家の中散らかっているんですよね・・・」(やんわり)おやっさん:「大丈夫、大丈夫、散らかってても構わないから」(強引)
ここで押し問答していても仕方ないので、ひとまず通してはみたが・・・。コイツ、やたら家の中を見回す。風呂場のよくわからん資料を持ち出し書いてあったことをそのまま説明し去っていった。どうやら家の中を見たかっただけのようだが、コイツはイッタイなんなんだ!?
そんなこんなで、初体験の激動引越作業となったわけだ。引越しにある程度の疲労はつきものであるが、この度はどっと疲れた。
実のところ菓子折りを用意していて、引越が落ち着いてから近所の方へご挨拶しようと思っていたんだが、あらかた挨拶は終わってしまったようだ。というか、人集まってきすぎ。
閑話休題、町内会の小話を。めくるめくやってきた来訪者の話の中で「どないやねん。」と感じた話があった。
それは、町内会に入会しないと、共同のごみ捨て場が使えない。また、ウチの前の街灯は消されている(未入会だからか今まで人が住んでなかったからかはわからないが)ということ。
はぁあ、よく聞く話ではあるが、ついに我が身にも起こったか。
その地域では、ゴミは戸別収集はしておらず、ごみ捨て場に集められたゴミが、収集業者によって回収されているらしい。
だけれども、自分はこう考えるのであった。それ(ゴミの収集)って、市町村の住民サービスのイッコなんじゃないの。任意団体である町内会が、なぜに音頭とっとるんじゃ。
役所へ諸手続きがてら、相談に行くことにした。ところがどっこい、この地域の役所の対応にも驚愕・愕然としてしまうハメになるのだった。
次回へ続く。