床屋での会話が、意外と難しい件

トコヤはドコヤ?

駄洒落のようにみえて、そうではなく、結構真剣に考える。
自分に合った床屋を探す、というのは至難のワザだからだ。

新たな住まいに越すと、色々と手間がかかる。
病院さがしに、美容院さがし・・・「よ」と「ょ」の違いはあれども、両者大変なのである。
「病院」は、行くことになれば、探して行く。
対して「美容院」-床屋-は、髪が野比のび太…否、伸び伸びになる度に行く。
つまり定期的に行くことになるのが、「美容院」-床屋-であろう。

引越魔の自分が幾つかの床屋との出会いと別れを繰り返してきた中で、とある床屋での思い出話をここでヒトツ。というか最近あった事だ。

あ、髪が野比のび太(伸び伸び)だ。床屋へ行かねば。
数年前、引越魔の自分が引越をし、新たな場所で暮らし始めて間もなかった頃、インターネットで近場の床屋を探し当て、赴いた。

以来何度か引越はしているものの、生活圏内は殆ど変わらず、他を探すのも面倒で、ずっと同じ場所で散髪をしている。

何度か行くようになり、担当の人と顔見知りになった。
大体自分の好みの髪型を把握してくれるようになった折の、会話。

美容師:「どんな風にしましょう。」

自分:「んー、いつもと同じくらいに。前髪をあーしてこーして…。」

つらつらと述べ始めるも、つい説明するのが面倒で、いつも終わりにはこう言ってしまう。

「とにかくワシ好みの形で、諸々考慮して、いい塩梅にしてオクレ。」

何度か会っていて、顔見知りだし、自分のこのタチ、解っておられるだろう、という他力本願さがまがまがしく表れて居る。

ジョキジョキ切りはじめられる。
髪を切ってくれればそれで好かったので、ジョキジョキ切っていく様を静観していた。

間が持たないと感じるのか、いつからか美容師が適当な話をし始める。

美容師:「今日は、暑いですねー(寒い/良い天気/土砂降り…とにかく天気の話題)。」
自分:「えぇ、はぁ。」

ライトでゆるい会話が始まる。それもまぁ、好かろう。
とにかく手際よく良いように切ってくれれば、万事OK。

ある日の散髪中、上記のようなゆるい会話を重ねながら、姿見越しに自分が散髪されるのを眺めていくと、なんか、違う、こうじゃ、ない。と感じる事があった。

どうしてほしいかをうまく直球で説明出来ぬタチなので、暫し考えた。
どう云えば伝わりやすいのだろうか。

そこで、閃いた。これなら瞭然であろうっ(・▽・)。

自分:「あの、ナマケモノの赤ちゃんのようなフォルムにして戴きたいのだが。」
美容師:「ナマケモノ…なんですか、それ。」

このお方は、ナマケモノを知らなかったらしい。
ナマケモノとは何ぞや、という事から説明せねばならなくなった。

ナマケモノかわいい

常々自分はナマケモノがいる南米コスタリカへ想いを馳せて暮らしているので、自分にとっては身近であったが、他人様にとってはそうでない、と言うことを痛感。そりゃ、そうだわな。

一途にナマケモノについて説明をしている自分に、美容師はこう言った。

美容師:「あ、後で画像見ておきます。」
自分:「はぁ、そうしてください。」

文明の利器であるスマフォやらで視る事も出来るであろうに、どうやらテンヤワンヤになっておられるように見えたので、そっとしておくことにした。

で、切られた髪の仕上がり、勿論ナマケモノに非ず。
まぁいいや、今回は唐突にナマケモノの話を持ち出してしまったし、次回はきっと研究してくれるだろう(^▽^)。

そう自分を納得させ、会計を済ませた。
店を出る際に、担当者に言われた。

「あ、そうそう、画像みておきますねー、チンパンジーの赤ちゃんでしたっけ?」

チンパンジー

ナンデストー(≧з≦)!ある意味、目から鱗が出た。

大体どこの床屋でも美容師との会話はゆるいモンだしそれで好いと考えてはいたが…。
せめて何気ない会話は良くとも、重要ポイントの「ナマケモノ」は、押えていてほしかった…。

自分も、説明不足な所が多々あっただろうから、それもやや反省。
ん?単に自分がチンパンジーに似ているからそんな動物が出たのか?
…真意は不明である。

加えて謎な点がもう1点。ただ髪を切るだけで、2時間以上もの時間を要していたこと。
白髪染めも他のサービスも、何だかいうトリートメントやら、何もしていない、ただ散髪のみで、だ。
通常でも1時間30分ほどかかり、元々のんびり派ではあるのだが、なにゆえこの度斯様に時間がかかってしまったのか。
もしかしたら、「ナマケモノ」の一言で、心を惑わせてしまったのやも知れぬ…。
だとすれば、大いに反省。

いやはや、意思疎通を図るのって、ムズカシイことであるな(´・〇・`)。
自分にはまだまだ修行が足りていないことを学んだ日であった。

それ以降、床屋へまだ足を運んでいないが、一体次回はどんな髪型にされるのやら。
一抹の不安も憶えつつも、次回の散髪の愉しみができてしまった。

そうこうしているうちに、また髪が、野比のび太である。
いつもの床屋へいつもの担当者で、予約を入れてみよう。
ナマケモノになれるのか、チンパンジーか、はたまた全く別の動物となるか…
乞うご期待、といきますか(・▽・)。

あとがき:
あの時、「ナマケモノの赤ちゃん」と言ったが、よくよく調べてみたら自分の希望は
「赤ちゃん」ではなく「ナマケモノ」そのものだったと判明。
こんな適当な事ばかり言っているから、希望通りの髪型にならんのである。
担当の美容師には、哀れみに近い感情を抱いたのであった。