ペン字のお手本に欧陽詢の教本探し(楷書)

 ペン字や書道、文字の練習をする際の「お手本」ってものすごく大事だと思うんです。いや、何を当たり前なことを・・・と思われてしまうかもしれませんが、本当に大事だとしみじみ思ったここ最近。

本屋に行けば数多あるペン字や書道の練習帳などの教本。お手本となるそれらの本は、もちろん綺麗な字であることは確かなのですが、その著者によってどこかクセがあると思います。

あまり気にせずベストセラーな練習帳などを手に取って練習するのもいいのかもしれませんが、お手本となる字がどうもしっくり来ないと練習には実が入らないし、やっていてテンションも上がりませんし。それに一つのお手本をずーっと練習していればその字が自分の書く文字のベースになってしまうと思います。

綺麗な字ではあるんでしょうけど、その字が自分が思う「美しい字」とは限らないのでは?

まあ、そんなこんなでここ数日は自分が美しいと思う字をお手本としようと連日本屋で探し回っておりました。

個人的には、唐の四大家の一人である「欧陽詢」の文字は楷書の中でも文字のバランスや太さ、とめはねはらいの感じがとても好みで美しいと感じた文字です。
欧陽詢の代表作の一つである「九成宮醴泉銘」を写した本はたくさん書店にも出回っていましたが、いかんせん元は石碑に刻まれていた文字です。鮮明なものではないのが残念なところ。

なかなかこれぞ!というのはなかったのですが、いいなって思った順に列挙したいと思います。



欧陽詢楷書字典

※書店にはなくてネットで探して見つけたもの

実のところ「欧陽詢楷書字典」は、同じ名称の本が2冊あって、上記のものよりもう1冊の方がおすすめだったりします。

amazonリンクの上記のものは、雄山閣出版社から発刊の1984年のものです。おそらく絶版本で町の本屋には売っていない代物でした。定価は4000円くらいみたいですが、今やプレミアがついてしまっているようです。

それからもう一冊のおすすめの方は、日本習字教育連盟が出版したものです。こちらも本屋ではなかったものなので、古本屋などで見られるもの。定価はよくはわからなかったのですが、フリマサイトの実勢価格を調べると500円~2000円程度とピンキリ。ただし出回ること自体があまりありません。

日本習字教育連盟が出版した本をおすすめする理由は、「見やすい」からです。手本となる字の大きさもそれなりに大きいものですし、部首別に字典式並べてあるところも練習を進めやすいと思います。
ただし、石碑を拡大したようなものではなく、観峰宗師が臨書された字になります。オリジナルである欧陽詢の文字で練習したいという場合は向かないでしょう。

2冊とも入手困難な部類ですが、ネットで探せばなんとか見つかるレベル。ちょっと高めな価格のものが多いと思います。

臨書を楽しむ〈1〉九成宮醴泉銘

九成宮醴泉銘の石碑に刻まれた文字を一字ずつ切り出して臨書がしやすいようになっています。少し文字が小さく見づらい面がありますが致し方ないところ。あと、解説丁寧です。

書店でも購入できる本なので、入手はしやすいです。1650円でお値段も手頃。

中国法書選 31 九成宮醴泉銘 唐・欧陽詢

九成宮醴泉銘の原文をお手本にして練習ができます。詳しい解説が必要な方は、中国法書ガイドも一緒に購入したいところです。個人的にはお手本にするには文字が小さいと思いましたが。(原文をコピーしたものなので仕方ないところなのでしょうが)

それとちょっとボリューム不足だったりします。42頁結構薄め。

精選拡大法帖 8 九成宮醴泉銘 唐・欧陽詢

字が小さくて見づらい。という方向けの原本拡大版

たぶんこれは解像度の問題だと思うのですが、拡大しているから線がガッタガタ。鮮明な綺麗な線になっていないので、それが気になる方は絶対NGだと思います。
書店で購入できるものなので、中身を見てみて自分に合う合わないかって要確認の一冊だと思います。

番外編1 欧陽詢を元にしたフォント

書店で本を眺めていると練習本にするには意外と見やすいものが少なくて、もっと何かないものか・・・と思いました。

そこでフォントで美しい書体のものがないものかも調べてみましたが、フォントも本当にたくさんあるもので、欧陽詢を元にデザインされたフォントももちろんありました。

フォントなので文字はもちろん鮮明ですし、見やすさは抜群であります。実際のところもしかしてお手本にするならフォントの方がいいんじゃないかと思ったくらいです。

一方、フォントの場合はフォント作成者がデザインして文字のバランスなどを再構築した文字になっているので、欧陽詢の原文を臨書して学びたい方には選択肢には入らないのでしょう。それに書道を志す方々にとっては書聖の風格や味といったものは削がれているものかもしれませんので。

完全に文字の練習をする人の好みだとは思いますが、書道家を目指すわけではないのでしたらフォント探しをしてみるのもいいのかと思いました。もちろんフォントもお値段しますけど。(大体10000円前後)

代表的な欧陽詢のフォント

  • モリサワ「欧体楷書
  • 白洲「NM白洲欧陽詢楷書
  • DynaFont「欧陽詢体
  • モトヤ「モトヤ正楷書3

発売元のホームページにはサンプルもあります。

番外編2 スマホのアプリ【欧陽詢-九成宮醴泉銘唐】

アプリのアイコン

スマホのアプリでは、【欧陽詢-九成宮醴泉銘唐】というものがあります。

中国の方が作成されたアプリだと思われ、メニューの文字は中国語(漢字)です。複雑な操作を要求するものではないので、漢字を見てなんとなくの意味で操作は可能です。

機能的には、原文の表示なぞり書きその他の集字集など。スマホなので拡大も自由にできます。

なお、基本無料のアプリですが、起動時に画面全体の広告表示とその後は画面下にバナー広告が表示されます。

以下、サンプルで画面コピーしてみましたのでご参考まで


以上になります。書店で探してて思ったのは、ペン字や美文字の練習本のお手本は綺麗な字だとは思いますが、自分の好みの文字だったり、字の美しさを感じるかというとなかなかしっくりこないものだな。と。練習を始めたらかなりの時間を要していくと思うので、自分の納得行くお手本選びもかなり大事だな~って思った次第です。