騒音計でマンション上の階のうるさい話し声を計測してみた(Sutekus データロガー騒音計)

 賃貸マンションの上の階の入居者が毎晩のように騒いでいて本当に困っていました。

ただ、受忍限度というのもあるため、ある程度の生活音は我慢しなきゃいけない。それはわかっているけど、明らかにうるさいと感じるし、これはおかしいと思っていました。

でも、過剰にクレーム入れていると思われるのも嫌です。この音って受忍限度を超えるくらいの音量なのか気になりました。

そこで、最初はスマホのアプリのボイスレコーダーや騒音計を試し、さらに市販の騒音計を購入して計測をしてみました。

目次

  1. 生活騒音をスマホの騒音計アプリで計測、ICレコーダーで録音を試す
    • スマホのボイスレコーダー(アプリ)の録音は難しい
    • スマホの騒音計(アプリ)の計測も難しい
    • ICレコーダーは、雑音混じりなら録音できた
    • 市販の騒音計を購入して試すことに
  2. 生活騒音を「Sutekus データロガー騒音計」で計測してみた結果
    • 騒音計による測定方法。こんな感じで計測しました
    • 音が拾えてない?思った程、騒音計が反応しない(騒音値が出ない)
    • 騒音値が出ない場合の提案①壁にマイクをびたづけして計る
    • 騒音値が出ない場合の提案②録音できた音を再生して計る

生活騒音をスマホの騒音計アプリで計測、ICレコーダーで録音を試す

大家への苦情を伝える際、被害の実情を知ってもらうため、被害の記録を取るために色々と試しました。

スマホのボイスレコーダー(アプリ)の録音は難しい

ボイスレコーダーアプリ
ボイスレコーダー(アプリ)

結論から書くと、全く録れない。
かろうじて取れるとしたら叫び声や怒鳴り声をあげた時の高音部分が少し・・・この程度。

試したアプリが悪かったんじゃないか?とも考えて三つ程は試しましたが、いずれも同じ結果でした。(設定いじってもダメ)

考えてみれば、アプリ自体の作りは違えど、音を拾うマイクはスマホに内蔵されているものです。その性能が変わらないんだからどのアプリを試しても結果は一緒ですね。
スマホのマイクは、電話の音声通話の為のものです。近場の声を拾うのは得意ですが遠い声を拾うのは得意じゃありません。

ただ、最新のスマホならマイクの性能が向上しているかもしれませんので、ダメ元で試してみるのはいいと思います。(スピーカーでの通話も結構はっきり聞こえますからね。最新のスマホなら録音可能かもしれません。私のスマホは少し古い)

スマホの騒音計(アプリ)の計測も難しい

騒音計アプリ
騒音計(アプリ)

次に、これもダメ元で試したスマホの騒音計。結果としては、全く音に反応せず計測不可能でした。

手元で計っていると、ちょっとスマホを持ち変えたりしただけでも敏感に数値の変化があって反応はしてくれるんですけどね。上の階の話し声や叫び声となるとほとんど変わらない。(1デシベルの変化もない)
やっぱり、マイクの性能なんでしょうね。別売りの集音マイクでも付けてみないとまず録れないなと思いました。

スマホのボイスレコーダーや騒音計のアプリって、騒音問題の対策の一つ(記録の手段)のように書かれている記事を見かけますが、ほとんど録れませんね。
これもよくよく考えてみて思うのですが、そんな遠くの声まで拾うくらいマイクの感度がよかったら雑音も拾いまくりで通話になりません。
おそらくノイズキャンセリングの機能を利用して騒音を打ち消すことでクリアな音(通話)を実現していると思われますが、ボイスレコーダーや騒音計のアプリでどのように動作しているかはわかりません。

ただ一つ言えるのは、実際に使ってみると思うように録れませんでしたね。

ICレコーダーは、雑音混じりなら録音できた

ICレコーダー
ICレコーダー

ICレコーダーも持っていたので、これで録れるかも試しました。

結果、なんとなく録れる。雑音が相当入っているけど、はっきり声が分かるくらい録れる。

もちろん、こもったような話し声やボソボソ聞こえてくるような声は拾えませんでしたが、怒鳴り声や叫び声になると拾えます。(そりゃあうるさいんで)
雑音がかなり入ってしまっていて、拾えた声も小さめ。加えて、車の通りすぎる音はしっかり拾うけど、取りたい騒音はあまり録れない。
雑音7割、声3割といった感じでした。
ないよりマシくらいなものですが、私が手持ちのICレコーダーは拾えました。

なお、私が使用しているICレコーダーは、「Panasonc RR-XS455」という製品です。
5、6年前に購入したものなので今は後継機の「RR-XS470」が販売されているようです。

このICレコーダーを使って、以下の設定で録音しました。

  • 録音シーン:講義
  • 録音モード:MP3 320kbps
  • ズーム機能:ON

この他、マイク音量や感度などは全て最大で試しています。
また、出来る限り、音の発生源に近づけて録音した方が拾いやすいのかもしれませんが、天井に近づけても普通に立っている位置で録ってもあまりかわりませんでした。(私の場合)

市販の騒音計を購入して試すことに

騒音計自体は、自治体で貸し出しもしています。(ほとんどの自治体が貸し出ししていると思われます)
購入してまではしたくないというのであれば、借りるのも有りです。

私の場合は、自治体の貸し出し期間が1週間くらいだったのと、市販の騒音計の価格を調べたらそこまで高額でなかったので購入して試すことにしました。(借りに行くのも返しに行くのも手間というのもありました)

また、あくまでどのくらいの騒音値が出ているのかを確認するためです。裁判の証拠にするとかそういう意図ではありません。
もし、騒音と言える程度の騒音値が確認できるなら大家に確認してもらってもいいし、こちらから騒音計で数値測ってみますか?と提案もできると考えたりしました。

騒音計
騒音計

生活騒音を「Sutekus データロガー騒音計」で計測してみた結果

私が購入して試したのは「Sutekus データロガー騒音計 GM1356」という製品です。

簡易な騒音計は他にもたくさん販売されています。中には1500円程度で販売されているものもありますが、9V乾電池が必要だったり、記録ができなかったりします。(手元で確認するだけ)
Sutekus データロガー騒音計を選んだ理由としては、

  • 測定データを内蔵メモリに保存できる
  • 電源は、単3アルカリ乾電池4本
  • 付属の測定ソフトで測定結果をグラフ表示できる(確認がしやすい)
  • 日本語説明書付属

いつ起こるかわからない怒鳴り声や叫び声です。ずーっと待ち構えているわけにもいかないので、測定データを保存できる機能は必要でした。(1秒間隔で記録を行うと1時間強まで記録できる)

騒音計
Sutekus データロガー騒音計

騒音計による測定方法。こんな感じで計測しました

特別変わった測定の仕方はせず、椅子に座った高さの耳元の位置くらいで計測することにしました。
音の発生源である天井に近づけるなどをしない方が正確な数値が取れると思ったからです。

音が拾えてない?思った程、騒音計が反応しない(騒音値が出ない)

まず、通常の騒音値ですが、この機械で計測すると昼夜で概ね以下の数値が出ました。

33~43デシベル
32デシベル前後

これは、家の中でほぼ音を出していない状態(静かな室内)で測った数値です。むろん、ドアの開け閉めや家族の話し声などあれば数値はもっと上がります。
また、昼の騒音値はまばらです。車道に面したマンションの3階ということもあり、車がひっきりなしに通ります。大型車が通れば45デシベルを超えることもあるくらいです。
信号待ちで車の通りがやめば静かになるし、また車が走り出せば走る音がひっきりなしに聞こえてくる感じですね。

夜は、車通りも少なくなるため、車が通っていない状態だと、32デシベル前後。かなり静かだと思います。

それで、上の階の人が騒ぎ出すのは夜なので、どのくらいの数値が出るのかと思えば・・・

ボソボソ話すような声 32デシベル(変化なし)
こもったような話し声 33~34デシベル
怒鳴り声、叫び声 35~36デシベル

この程度です。もう、ほとんど取れていませんよね。壊れてる?と思ってしまうくらい。
でも、例えばですが、腕まくりした時の服がこすれる音もちゃんと拾っていて、これだけでも40~45デシベルくらいを計測します。軽い咳払いをしようものなら70デシベルを超えてきます。また、外を走る車の音にも反応します。

となると、手元や近場の音、車の音(のような高音)は拾えるけど、遠くの声は拾えないということでしょうね。それと、音の発生源である天井にギリギリまで近づけてみてもほとんど変わらない状況でした。

一方、気にしすぎ、音に過敏になっている。というのも考えられる線です。
確かに、何かを話していると感じるこもったような話し声は、はっきりと内容が聞き取れる程のものではありません。近くで小声で話しているのと同じかそれ以下の音量なのだと思います。
ただ、怒鳴り声や叫び声はうるさいと感じますし、どんな言葉を叫んでいるかもわかります。感覚的には騒音と思っていたし、少なくとも50デシベルは出ると思っていました。

騒音計が反応しないんじゃなくて、自分が思っているような数値が出ない。って感じなのかもしれない、と思ったくらいでした。

騒音値が出ない場合の提案①壁にマイクをびたづけして計る

こうなると実は騒音という程のものじゃなくて、自分や家族が神経質だったなんてことになってしまいます。でも、この音量で受忍限度ですっていうのも変な話です。今までは静かに暮らせていたわけですしね。
そこで、正確な数値が取れているとは思いませんが、より音を拾いやすくするために騒音計を壁にぴったりくっつけて取ることにしました。

騒音計
壁にくっつけて

この騒音計の場合、形状的にマイクの先が平面になっています。マイクカバーを外せば棒状の部分を壁にくっつけられるのでこれで計るというものです。

ボソボソ話すような声 33~34デシベル
こもったような話し声 35~36デシベル
怒鳴り声、叫び声 38~45デシベル

この計り方でこの程度。確かに少しは音を拾うようになりました。
怒鳴り声や叫び声などは、その時の音量の大小があるので幅もそれなりにありました。
ただそれでもこの程度?と思うくらいでしたが。

これでも環境基準で言うところの騒音レベルには達していないということになるんですよね。(それに壁に耳を当てた状態の騒音値とも言い換えられるわけで、全く参考にならないと言えばそうだと思いますので)

騒音値が出ない場合の提案②録音できた音を再生して計る

もう一つ、騒音値を推測する方法として、

ICレコーダーで録音できた音を騒音計に聞かせて、その数値の上下(の幅)を計る。

も試しました。

仮にですが、騒音がない状態の騒音値と騒音が発生した状態の騒音値を比べてみて、何デシベル差が出るものなのかを計り、その差分で騒音値を推測してみるというものです。

ICレコーダーと騒音計
録音音声の騒音値を計る

このようにして録音データを騒音計に聞かせた結果を付属の騒音値表示ソフトの「Sound Level Meter」(サウンドレベルメーター)で表示したものが下記になります。

Sound Level Meter
Sound Level Meter

波形が下の方で一定している部分が雑音のみの部分。これが大体63デシベル前後
波形が激しく上下している部分は、怒鳴り声や叫び声などの大きな声を出している時のものです。

騒音値 騒音値-63dB
85.1dB 22.1dB
79.2dB 16.2dB
73.2dB 13.2dB
72.1dB 9.1dB
77.8dB 14.8dB
78.3dB 15.3dB
70.7dB 7.7dB
73.6dB 10.6dB

※dB=デシベル

計測された騒音値から63デシベル(通常時)を引いてあげた数値が、怒鳴り声や叫び声が聞こえた時に上がる騒音値と推定。
前述の通り、静かな室内で計測すると「32デシベル」前後でしたので、これに差分の数値を加えてあげると騒音値が推測できるというものです。

私のケースで言えば、①だと32dB+22.1dB=54.1dB ですし、③だと32dB+13.2=45.2dB という結果になりました。

これでも環境基準でいうところの夜間45デシベル以下というのを超える場合がたまにあるという程度。
ただ、ICレコーダーで録音できない声も多いですし、録音できた音も実際にはもっと大きく聞こえている感覚です。

確証は持てない結果ではありますが、それ相応の声が聞こえてきてしまっているのは客観的事実ではないかと考えました。
正確な数値を計れる機械を使えば、騒音レベルの音が出ると思わせる結果ではないでしょうか。

※仮に損害賠償請求等の裁判に訴える場合、証拠とするには「環境計量士」に計測してもらう必要があります。

以上です。
市販の騒音計による生活騒音の計測は、計測する室内の環境によりけりな部分がありそうで、車通りや室外機の音、換気扇の音などの有無で変わってくると思います。おそらくですが、ドスドス響くような足音も録りづらい音だと思います。逆に物を落としたような衝撃音の場合は、音が拾えると思います。所感ですが高音は拾いやすいけど、低音は拾いにくい感じがありました。ただ、自治体では貸し出しもしてますし、自分で購入するにしてもそこまで高額なものでもありません。試してみる価値はあると思います。

大家に苦情を伝えた話は、別記事でまとめています。


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