私も独学でペン字の練習をしている一人ですが、お手本を見て書く以外に何か良い練習方法がないものか模索していました。
結論から言えば、これといった目からウロコのような練習法というものはないのですが、どんな方法でもやり続けることで必ず上達は図れるであろうと感じます。
やはり、どんな練習法でも一朝一夕ではいかないのも確かで、結局は毎日練習を続けて書けるようになる、ということであれば、練習を続けられることも大事だと思います。
また、ペン字の練習をされる方の現状(現時点での実力)も様々で、どの程度上達したいのかも人それぞれです。特に、独学で練習をしていく場合は、自分の現状を知り、最終的にどのような字を書くことを目指しているのか、明確にしておくのが良さそうです。
前置きが長くなりましたが、飽きずに続けられる方法で、自分に合った練習方法を見つけるヒントになれば幸いです。
※ここに記載する練習方法の多くは、すでにご存じでしょう。しかし、理論的な話や具体的な話も交えつつ短めにまとめてみたものです。練習のヒントやアイディアになるかもしれません。
目次
- まっすぐな線と円を書く練習
- 点画の筆法を覚える
- ゴシック体で書く練習
- なぞり書き
- 臨書
- 左手で書く練習(利き手の逆)
- 部首毎、造形を覚える練習
- ゆっくり丁寧に書く
- その他ペン字の練習で大事なこと
まっすぐな線と円を書く練習
全ての文字は、線と線のつながりでできている、ひいては点の延長線上である線からできている。ゆえに、まっすぐな線が書ければ、綺麗な字も書ける。そんな理屈から来ています。
ふにゃふにゃになったり、あらぬ方向に曲がってしまったら美しい文字にはなりません。達筆と言われる文字にぶれぶれでガタガタの字はないでしょう。
この練習方法は、単純にまっすぐな線と円を描く練習ですが、コツも少しあります。
まっすぐな線
- 上手く書けないなら定規を当てて線を引く。(真っ直ぐな線の引き方の感覚を覚える)
- 10cmくらいの直線をフリーハンドで書く。
- 均一で正確な線を書く。
- 線に強弱をつけ、細い線、太い線を書く。
- 一直線だけでなく「三角」「四角」の図形を書くのもいい。
- 横線は気持ち早めに、縦線はゆっくり書く。
- 横線は親指、縦線は人差し指に力が加わる(ように書く)。
- 練習用紙は、罫線のないものを選ぶ。
練習用紙は、罫線がないものの方が好ましいです。なぜかというと、罫線があると罫線を目で追って書いてしまうからです。手にまっすぐな線の書き方を覚えさせるのが目的なので、罫線はない方が身に付きます。
また、ペンの持ち方やペンの角度は、普段文字を書く時と同じでないといけません。でないと、この直線を書く時と文字を書く時とでギャップが生じてしまい、直線は上手く書けるのに、文字の線は上手く書けないという事態に陥ります。特に横線は、ペンが寝てしまいがちなので極力普段文字を書く角度であることを意識するのがいいと思います。
これらを踏まえ練習を続け、均一で正確な線が書ける頃には、ペンをかなりコントロールできるようになっているはずです。
円を描く
- 直径5~10cmくらいの円を描く。(もっと大きくてもいい)
正確に。が大事です。それから、大きな円を描くというのも大事です。小手先で描くのではなく、腕全体を使って描くことを覚えるのに円を描く練習をします。
また、ペンはシャープペンより鉛筆、細いボールペンより太いボールペンの方が練習になります。細い芯のペンは、線の強弱がつきにくく、一定の太さになってしまいます。力の入れ具合がわかりづらくなるので、わかる道具で練習する方が効果的です。
※もっと言えば、筆や筆ペンの方がいいのかもしれません。力加減の変化がわかりやすい方が自分の悪い部分を見つけやすいかもしれません。
点画の筆法を覚える
点画の筆法とは、縦画、横画、左右の払い、はね、点、折り曲げなど、筆独特の書き方のことです。
ペン字と言えどお手本にする字の多くは、毛筆で書いた字を元にした形になっています。打ち込み、運筆、とめ・はね・はらいといった、書道で習う基本点画の筆法が使われます。
美文字を考えると一つ一つの筆法のペン字での書き方を知る事が大事です。形を整えただけでは表現できない部分なので、美文字を求めるなら学ばれる方がよろしいと思います。
ちなみに私は、これを練習し始めの頃からずーっと、いまだにやっています。
ゴシック体で書く練習
一方で、ゴシック体で書く練習方法というものもあります。こちらは字の「形」を意識した練習方法。
とめ・はね・はらいの良し悪しは考えないで、文字の形を理解するのに特化した方法です。
あれもこれも気を付けながら練習するのが少ししんどい場合、何かを捨てて、ある部分にフォーカスした練習というのもいいのかもしれません。
なぞり書き
とっても古典的な練習方法で、一般的に有効とされています。
やり方としては、お手本にトレーシングペーパーの上からなぞる方法やお手本の文字を薄いグレーの色で印刷しなぞる方法があります。(市販の練習帳であればなぞり書きできるようになっているものも当然あります)
隣にお手本を置き、真似して書く臨書が難しければ有効だと思います。小学生が使うような教材にもあると思いますので、探してみるのもよろしいかと思います。
ちなみに、書道やペン字教室で先生が言う「お手本通りに書くようにしましょう」という言葉は、「寸分違わずお手本と全く一緒になるように書きましょう」と言っています。なぞり書き(や臨書)もそれくらい気持ちで練習する必要があります。
臨書
お手本を見ながら練習するという方法。
私が色々なペン字の練習本を見ていて驚いたのは、
『書道の臨書は、長い歴史の中で手本の効果的な用い方を完成させています。』
と言った文言を見かけた時です。なんと、驚くべき手本の見方というものがあるのかと胸を躍らせて見入ったわけですが・・・
- 点画の書き方を見る。
- 文字の組み立て方を見る。(文字の構造、縦長、横長であるとか上下左右の組み合わせ方などを見る)
- 文章の余白、字間や行間の広さ、全体の構成を見る。
この他、具体的には、始筆、運筆、終筆、転折を見るなどと続くわけですが、目新しい話でもなく、至って自然なお手本の見方が書いてあったものです。
もちろんこれが、頭の中でしっかりと想定しながら書くことにつながるわけなのでとても大事な点なのは違いありません。
左手で書く練習(利き手の逆)
なぞり書き、臨書は、文字の形を頭に焼き付けて、クセ字や下手な字(のイメージ)を矯正していくわけですが、それがどうしても上手くいかない時に試す方法に、左手(利き手と逆)で書くというものです。
普段右手で書いている人は、左手で文字を書くことはまずしませんから、手が文字の形を覚えてしまっているという事がありません。手で覚えてしまっているクセのようなものが出ないということで、左手で書く練習をするというわけです。
もちろん、書きにくいですし、まともには書けないと思います。やるならなぞり書きです。文字の形を頭に入れる事を念頭に練習します。
個人的にはとんでも理論だと思っていて、これをやれと言われてもにわかに信じがたい気持ちです。信じるものは救われる・・・なんでしょうか。
部首毎、造形を覚える練習
もし、造形を覚えることをせずにひたすら書く練習に取り組んだ場合、多くの字の形をすべて記憶しないといけなくなるかもしれません。それは、結局のところお手本がなければ書けないことにもつながるので、造形をパターンで覚えて応用ができることが求められます。そのためには、部首毎の造形の異なるいくつかの文字を書く練習をするのが効果的かもしれません。また、ペン字の練習本を使っているのであれば、できる限り効率よく字形を覚える工夫は凝らされているかもしれません。(形の似ている字がグルーピングされ、集中的に練習を進められるようになっていたり)
※上記は、加筆・修正が必要かもしれません。私自身も課題で深く追求できていない部分が多いからです。(申し訳ありません)
ゆっくり丁寧に書く
それだけです。
これは、どうすれば上手く字を書けますか?と質問された際、結構多くの人が言う言葉です。
ただ、それだけで字が上手くなるなら話は簡単なわけで、そもそもな話をすれば、練習する際に何を気をつけながら書くかで上達できるかが変わってきます。結果的に、文字の形、点画の書き方、余白や字間、行間などを整えて書く・・・と、ゆっくり丁寧に書くことになります。
大事な事ですが、言葉の意味を理解している人には当たり前の話ですし、理解していない人にとってはそれだけでは上達できるかはわかりません。
その他ペン字の練習で大事なこと
- 自分の好みのお手本を選ぶ。
- 毎日練習する。
- 文字の形は、造形の要点を修得する。
- 中心線を通す(ことを意識して書く)。
- 書き順。
- 字の形以外に、上手い人の書き方や書式を真似る。
- マス目のある練習用紙を使う。(方眼紙等)
- 練習道具も大事。
- 美文字だけじゃなく、書く所作も美しく。(姿勢大事)
- お手本を見る時間を増やす。(上手な字により多く接する)
以上になります。おそらくどれも続けていれば少なからず上達が図れると思います。私の場合は、まっすぐな線を書く練習と点画の筆法を中心に臨書をしていますが、なぞり書きはしていなかったります。自分の現状に合わせて、どのやり方が効果的なのか、組み合わせてみてはどうか、試していないやり方をやってみるなど、時々の状況に合わせて取り組むのがいいのだと思っております。
蛇足。私もペン字の練習を続けています。