前置き④車入手までのカウントダウン・車屋へ行こう。

 車屋に行くぞと息巻いて西陽に向かって自転車でひた走る、いつもの帰り道。
はたと思った。「あれ、近くに車屋なんてあったかね。見たことない(・□・)。

そうか迂闊だった。車屋は郊外の広い場所に店を構えているイメージがわき上がった。
ということで、この通勤道にはなさそうだ・・・(調べとけよ)。

交差点で信号待ちした際に、暮れ行く太陽の優しい朱色が目に沁みて、ガクンと頭を落とした。
朱色の太陽に「少しは落ち着きなさいよ」となだめられた(?)気がした。
もう陽も堕ちる。信号も青になる。今日は帰ろう。
頭を上げ、何気に目線を右にやった。

ああああ。一軒あった。A社の販売店。

車屋発見の絵
A社発見。

なんだあるじゃないか(・▽・)♪寄り道して軒先まで行ってみたら、定休日のようだった。
仕方ない。また今度来るか。

ということで改めて帰路へつこうとしたら。
A社の少し先に、これまたB社の販売店の看板がみえた。

車屋発見の絵
B社発見。

えぇっ。ここにもあるのかぇ!灯りはついていた。
まだ開いてそうだったので、行ってみた。

自転車の絵
ウィズ・自転車。

B社でのやり取り↓

ワシ:「あの~、夕暮れ時にすみません。車、探してます
営業:「いらっしゃいませー。どんな車をお探しで
ワシ:「かくかくしかじか、しっかりしたヤツ。ありますかね
営業:「あぁあ~~~(残念そうに)、すみません、ウチ、今そういう車販売してないんです
ワシ:「そうでしたか。失礼しました
営業:「少しお待ちください、今、他社でそういう車、出しているかどうか、調べてみますね
ワシ:「えっ。いや、どうぞお構いなく。自分で調べますので

ワシなんかを相手にしても一円にもならないのに、時間を割いてくれた。
B社の営業によると、国産車で希望する車を売っているのはほんの数社のみとの事だった。
そんなに売ってないものなのか。とやや愕然とする。
B社の営業は、最後に自虐気味にこう言った。
いやぁ、すみません、ウチは大衆受けメインで販売する会社になっちゃって。また出して欲しいものです
大衆受け。それはとても大事。沢山売れる車でないと、作っても仕方がないもんな。

深々とお辞儀をしてB社を後にした。
脳みそ単細胞なワシには、上記の対応から、B社へのイメージは良いものとなった。
今、B社では買えないが、今後もし何かご縁があればB社も視野に入れてみよう、という気になれた。
と同時に、営業の仕事って、こういうの、大事だよなと、学びを得た。

さて、今日は帰ろうか。
と、B社に背を向けたら、通りを挟んだ真向いに、これまたC社の看板が!

車屋発見の絵
C社発見。

・・・通勤道の近くに、こんなにも車屋があったとは。
ワシ、この道何年か通過していた筈なんやがねぇ(´ーωー`)。
まだ間に合いそうだったので(灯りはついていた)、ついでにC社の暖簾をくぐってみた。

C社でのやり取り↓

ワシ:「あの~、夕暮れ時にすみません。車、探してます
営業:「いらっしゃいませー!どんな車をお探しで
ワシ:「かくかくしかじか、しっかりしたヤツ。ありますかね

この時点で、この会社にはないだろうと思っていた。
ところがC社の営業は、こう言った。

営業:「・・・、あります

なぜ、今、含みを持たせて少し間を空けたのだろう(笑)。記憶が正しければ、目を泳がせながら言ったと思う。
ちらりと名札に目をやったら、若葉マークがついていた。どうやら若い人らしい。

この若手営業担当は、鴨が葱を背負って来たと思ったのだろう。
売りたい!売りたい!の一心で、セールストークが炸裂した。

カモネギの絵
ワシはネギを背負っている。

対してこっちは歳もいっていたので、ドライに言葉を返していた。
しかしなんだかこのセールストーク、疲れてきた。腹も減ってきた(´・□・`)(遅い時間に入店しておいて、勝手だな)。

目の前にあったから入ってはみたものの、そう言えばワシは車屋と言えば、一社しか知らなかった。
そう。親父の乗っている車の某社。物心ついた時から殆どこの某社の車ばかりだった。
だがこの日目にしたA・B・C社はそことは別の会社だった。

で、ここへ来ておもった。
ああ、やはり、某社の車が第一希望だったんだ、と。

C社では、とりあえずカタログだけもらって帰ろうとした。

営業:「今後お知らせ等したいので、ご連絡先を~・・・
ワシ:「いや、また今度きますので
営業:「そんなこと言わず、どうか~!!

とてもしつこかった。そりゃそうだよな。
車屋にしたら、ワシ、鴨だから。仕方ない。
名前(一応本名を書いた。)と電話番号(普段放置しているヤツ。当時は沢山携帯をもっていた。)を記して店を後にした。

最後にビジネスライクな満面の笑みでこう言われた。「今後ともよろしくお願いいたします!

何だか西陽に導かれた気がしないでもないが、すっかり周りは昏くなっていた。
息巻いていたのはどこ吹く風、自分自身もすっかりクールダウンしていた。

車の購入は、急ぎの用ではない。
選択肢は少ないものの、焦らず気に入るものを探そうと思った次第である。

ひとやすみの絵
焦らずひとやすみじゃい。

続く。