気付くと値上がりしてる・・・好きなお店の好きな品だとちょっとしょげてしまいます。
和洋菓子店に関わらずだと思いますが、私はお歳暮やお中元、シーズンの折に利用していると、
またぁ!?この店も・・・
なんてことがよくあります。結構がっかりしてしまうのですが、これ以上の値上げはちょっと・・・と思うことも。
それで、値上げは様々な理由があるとは思うのですが、多くのお店の理由って
『原材料の高騰による』『物流費の上昇に伴い』『年々高まる人件費の高騰』
このようなところだと思います。(よくお店のホームページに載ってる理由)
まあ、確かに。ニュースで原材料の高騰とか物流コストの問題、人件費のことなど。耳にすることは多いです。
とはいえ、好きな味、よく使う店で値上げがあるとフトコロ的に厳しいのも事実。これ以上、値上げされると足が遠のくなぁ..なんて思う方もいるような気がします。
ちょっと穿った話、↑のような値上げ理由って、本当のところどこまで価格に影響してしまっているのだろうと気になりまとめました。
※原材料は、和洋菓子に関するものを対象にしています。※価格の調査に関しては、農林水産省、国土交通省など公的機関の公開情報を元にしています。
目次
- 主な原材料の価格推移
- 小麦
- バター
- 小豆
- その他費用の影響
- 物流費
- 人件費
- 消費税増税
- 企業努力だけでは価格の維持が限界のようです
主な原材料の価格推移
和洋菓子に用いられる原材料の代表的なものと言えば、
洋菓子だと「小麦」「バター」和菓子だと「小豆」
この辺りは焼き菓子や饅頭類に必要な材料で、和洋菓子店における主原料と言えると思います。また、砂糖や卵も欠かせません。
※砂糖と卵も載せようと思ったのですが、あまり価格変動がないようでした。(割愛しています)
参考にした資料は、以下になります。
農林水産省「農林水産物 品目別参考資料」https://www.maff.go.jp/j/kokusai/tag/attach/pdf/index-18.pdf(PDF)
農林水産省「令和2年8月の乳製品の大口需要者向け価格の動向」https://www.maff.go.jp/j/chikusan/gyunyu/lin/attach/pdf/index-266.pdf(PDF)
※2020年10月15日調査時点の最新の公開資料参照。
この他、記載はしませんでしたが、以下も参考になります。
アメリカ合衆国農務省のHP(https://www.ers.usda.gov/)日本銀行HPの企業物価指数(https://www.boj.or.jp/)World Bank – Commodity Markets(https://www.worldbank.org/en/research/commodity-markets)
もっと詳しく知りたい場合は、上記も合わせて見てみるとわかります。
小麦
銘菓、名物を取り扱う和洋菓子メーカーでは、国内産の小麦にこだわって菓子作りされるところも少なくありません。上記の統計資料は、菓子類に限ったものではありませんので、パンや麺類に使用される小麦も含みます。なお、菓子作りに用いられる国内産の小麦は「北海道きたほなみ」のシェアが多いようです。確かに、ここ数年で見てもかなりの価格上昇が見てとれます。
バター
主要乳製品の大口需要者向け価格の動向より
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | |
---|---|---|---|---|---|
バター(原材料) | 1,369 | 1,354 | 1,374 | 1,389 | 1,385 |
※農林水産省「令和2年8月の乳製品の大口需要者向け価格の動向」参照
バターはニュースなどで、ないない、不足している・・・という声を聞きますが大きく価格が変動していることはないようです。
小豆
和菓子に小豆は最高のパートナーですが、統計資料上でも価格上昇が顕著です。(和菓子に使用される国内産のものが特に)
砂糖(参考情報)
大きな変動は、ないようです。
その他費用の影響
物流費
公益社団法人日本ロジスティックス システム協会HPの以下資料が出展元
「2018 年度 物流コスト調査報告書【概要版】」https://www1.logistics.or.jp/Portals/0/概要版:2018コスト調査報告書.pdf(PDF)
売上高物流コスト比率とは
『売上高物流コスト比率とは、各企業の物流コスト金額を売上高で除した値である。当調査では、有効回答企業 217 社の売上高物流コスト比率を単純平均し、それを日本における全産業の物流コストの指標としている。下記に今年度調査の傾向を示す。』
出展元:同上
売上高物流コスト比率は、さほど変動がないようです。そこまで大きな影響は受けていないものと思われます。
人件費
全国の最低賃金の推移
2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | |
---|---|---|---|---|---|
全国平均時給 | 798円 | 823円 | 848円 | 874円 | 901円 |
都道府県により異なります。但し、時給の上昇率に関しては全国平均から勘案しても大差はありません。
最低自給で働かせている職場は少ないよ・・・なんて話もあるかもしれませんが、地方の工場勤務のパートタイムやアルバイトの場合、意外と最低自給すれすれで働いていることってあったりします。個人経営のお店では少ないかもしれませんが、全国展開しているお店では、地方に生産工場を構えて単純作業を時給の低いパートタイムやアルバイトで賄っています。
年々見直される最低時給も影響が少なくないメーカーもありそうです。
消費税増税
ご存知の通り2019年10月から消費税が8%から10%に上がりました。この結果、多くの和洋菓子店が消費増税のタイミングに合わせて、価格改定を行っております。
お店からすると増税された場合、納める税金が増えますので利益が減る結果になります。
例:100円の利益が上がった場合 8%:8円を納税10%:10円を納税→増税の結果、2円利益が下がることに
このため、利益をこれまで通り確保したければ、減った分の価格上乗せが必要になります。
企業努力だけでは価格の維持が限界のようです
洋菓子だと、国内産小麦の価格上昇が大きく、和菓子だと、国内産小豆の価格上昇が大きいようです。
人件費や消費増税に関しては、菓子作り以外の梱包資材等(の仕入)の価格にも少なからず影響しているものと思われます。
各社それぞれが生産性の向上や経費削減などで吸収してきたのだと思いますが、企業努力では難しいところまできた結果とも言えるかもしれません。